殺しのドレス(1980)/Dressed to kill☆傑作昼メロエロチックサスペンス

ホラー・サスペンス・スリラー

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夫婦生活に不満のあるケイトは通院する精神科医の診察を終え、美術館へ向かう。そこで謎の男と出会い、男に導かれるまま情事をしてしまう。その直後、ケイトはエレベーターで見知らぬ金髪女に襲われ惨殺された。その現場に偶然目撃した高級娼婦のリズ。ケイト惨殺容疑をかけられたリズは、独自で犯人を捜すケイトの息子ピーターと遭遇し共に犯人を探し出す。

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ヒッチコックの『サイコ』お手本にして製作されたというだけあって、まるでサスペンスの教科書のようにカメラワークやカットが上手いく、今観ても全く飽きさせません。加えて、エロス、ホラーの要素も加味され、デ・パルマらしさがとても良く出ている秀逸な作品です。1時間40分程度のコンパクトさもちょうどいいです☆

原題Dressed to kill
公開1980
ジャンルサスペンス/スリラー
監督ブライアン・デ・パルマ
出演マイケル・ケイン、ナンシー・アレン
アンジー・ディキンソン
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以下は本作のに対するmmの感想と考察です

デ・パルマが撮ったエロチックサスペンスホラー。デ・パルマらしいややB級感漂う昼メロチックなチープな匂いと70年代を引きずる少し陰鬱とした雰囲気。けれども難解さはほとんどなく、誰が観ても楽しめる作品として上手く仕上げている。随所にエロスが散りばめられていて変態的な雰囲気はあるものの、十分地上波で放映できる程度である。

ナンシー・アレンという視聴者が感情移入し易いガールネクストドア的なルックスの普通の感覚の善良な人を主人公に据えて物語を進めていく姿勢も、非常に理解しやすく視聴者に優しい作りとなっている。機械オタクの青年を相棒にして二人で犯人捜しを進める手法は、サスペンスやミステリーの定番中の定番。

ヒッチコックの『サイコ』をお手本にして撮ったという本作。今や巨匠と言われている人相手にいう言葉ではないかもしれないが(映画界は巨匠だらけ、枕詞のように巨匠が多用されるので巨匠は自分で見つけるしかない)、冒頭の美術館でミステリアスな男を追ってウロウロするシーン、犯人の殺し方のシーン、楕円形の駅構内のシーン等、随所によく考え抜かれた構図で撮影されていると唸る箇所が多いのも本作の特徴。

まるでサスペンスの教科書と言って良い位、色々な角度から工夫を凝らして良く出来ている。特に、セリフなしで表情だけで演技させる手法は秀逸である。それを主要キャラクターにさせる場面もあれば(冒頭の美術館のシーン)、後にも先にもセリフなしの全くのエキストラでやってのけてしまうところ(リズとピーターのカフェのシーンでの隣席のエキストラ)もある。

同じくヒッチコックの『裏窓』をオマージュしたデ・パルマの『ボディ・ダブル』(1987年)も本作と双子の作品と言って良いほど、教科書的なお手本となる良作サスペンスでおすすめである。

マイケル・ケインと言えば、『アルフィー』(1966年)のプレイボーイ役を思い出す。長身、美男子で品があり、プレイボーイの役が上手くはまっていた。来る役は拒まないというポリシーを持つ彼は、シリアスからコメディまで何でも引き受け、演技の幅が広いので有名。

本作では女装も披露してくれる。長身かつ骨太なので、どうしても大柄な女性になってしまう。本作におけるサイコ演技はライトである。基本的にカツラを付けて女装しているだけというか(女装の時はセリフもない)。女装姿自体がそれほどシーンがないので、本作を機にサイコの役が広がったというわけでもないようである。 リアルタイムで観ると、あのマイケル・ケインが女装をしているのは衝撃なのかもしれないが。

観た時期が随分と後追いで、かつ、マイケル・ケインの仕事も色々観尽くしている状態だったので彼の女装にそれ程違和感がない冷めた感想となったけれども、ある意味、いつもの美男役から脱却して女装やトランスジェンダー役が回ってくると、役者としてノッて来た時期と言えるのかもしれない。

なお、冒頭で登場した美術館の男は、女装した時のマイケル・ケインととても似ている。二人ともサングラスをかけているので、もしかして美術館の男が犯人の金髪の大柄女かと勘違いした。同じ勘違いした人は多いのでは。いや、勘違いさせるようにわざと似せているのかもしれないが。

また、美術館の男は、テイストは古いけれども、ミステリアスな雰囲気がたっぷりである。ヘアスタイルといい、昭和のムード歌謡の歌手のよう。ここまでキャラを作っているのに、本編には全く絡んでこない所が、何度観ても気になってしまう。

デ・パルマがマイケル・ケインの役を最初にオファーしたのは、ショーン・コネリーだった。スケジュールの都合で断られたそう。もし引き受けてくれていたら、ショーン・コネリーのサイコ&女装(こちらも大柄な女性)が見れたかもしれない。そう思うととても残念。相当レアな作品となったのではないか。ショーン・コネリーはマイケル・ケインほど役の幅が広くなかったから。

序盤の主人公アンジー・ディキンソンと中盤以降の主人公のナンシー・アレン。二人の女優を使って物語を展開させる構図となっている。

劇中、二人の出会う所=アンジーが死にゆくエレベーターで、ケイト=アンジーが死に、そしてその死の目撃者ナンシーにフォーカスが当たって、物語の焦点がリズ=ナンシーにバトンタッチ。アンジーは欲求不満のセレブな熟女(この時のアンジー・ディキンソンは40代後半)。一方、ナンシーは若い高級コールガール。年代の異なる女性を夫々のパートで独立してじっくり撮るというのも、それ自体がエロチシズムなのかなと感じた。

本作のナンシー・アレンはとても可愛い。美形ではないけれどもチャーミング。『ロボ・コップ』(1987年)で観たのが初めてだったので短髪姿の地味な時代しか知らず、およそチャーミングと感じたことはなかったが、本作を観て何だ普通に可愛い女優さんだったんだと納得した。また、当時デ・パルマ監督とナンシー・アレンは夫婦であるというのも相まって、妻が美しく撮れているのは当然とも言える。

  • ややB級感漂う昼メロチック漂うエロチックサスペンスホラー
  • 工夫を凝らしたカットの等、サスペンスの教科書のような作品
  • 非常に理解しやすく視聴者に優しい作りでサクッと楽しめる
  • 『ロボ・コップ』のナンシー・アレンが実はチャーミングだったと再評価できる作品

冒頭の美術館 フィラデルフィア美術館/The Philadelphia Museum of Art

映画『ロッキー』(1976)でシルベスタ・スタローンがトレーニング中に階段を駆け上がってガッツポーズをするシーンで有名な「ロッキー・ステップ」がある美術館。

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