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もくじ
『架空OL日記』のあらすじ
「私」はどこにでもいる何の変哲もないOL。銀行に勤めていて、実家暮らし。職場には先輩、同期、後輩と共に毎日憂鬱になりながらも支店長等男性従業員の陰口を言い合いながら和気あいあいと過ごす。退社後は同僚・後輩とスポーツジムに行って一汗流し、帰宅する。休日は、地元の同級生とカフェに行ってだべったりする。
『架空OLの日記』は、バカリズムの笑いと共感が交差する奇妙な世界。彼の才能あるコメディセンスと、架空の世界に対するリアリティが見事に融合し、観客に新たな視点を提供しています。新しい笑いを求める人々にとって、必見の一本です!
出典元:シネマトゥデイ/Official Trailer
『架空OLの日記』の作品情報/キャスト
公開 | 2020 |
ジャンル | ドラマ |
監督 | 住田崇 |
キャスト | バカリズム、夏帆、臼田あさ美 佐藤玲、山田真歩 |
『架空OL日記』の配信・レンタル(日本国内)
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サービス名 | サービス | 本作の 利用状況 | 無料お試し期間 | 費用 |
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『架空OL日記』のレビュー・感想
以下は本作に対するmmの感想と考察です
ドキュメンタリー風の笑い
バカリズムが原作、脚本、そして主演、その個性的な視点から生まれる笑いと共感が、観客を奇妙な世界へ誘う。
物語は事件性が一切ないため、まるでドキュメンタリーを観ているようでもある。
バカリズムといえば、その独特のユーモアと知性で知られる才能あるコメディアン。本作では、彼が女装し、オフィスレディとしての生活を描き出す。一見すると奇抜な設定だが、バカリズムの女装は驚くほど自然で、彼のキャラクターがその世界に馴染んでいく様子は、笑いを誘うと同時に、観客(特に女性?)に共感を抱かせる。
本作は、架空のOLが綴る日記を通じて展開される。バカリズムのキャラクターが日々の出来事や感情を綴る様子は、まるで普通のOLの日記を読んでいるかのような臨場感がある。彼が遭遇する悩みや喜び、そして同僚や上司とのやり取りは、誰もが経験する日常の一コマを思い起こさせる。
また、バカリズムが演じる架空のOLは、ただ笑わせるだけでなく、彼の内面に迫る機会を与える。彼が普段とは異なる役柄に挑むことで、彼自身の新たな一面が垣間見える。観客は彼のお笑いセンスにさらに深い理解を持つことができるだろう。
さらに、バカリズムのOLが所属する銀行の女子従業員としてのキャラクターも、彼の才能を引き立てる重要な要素の一つ。彼の同僚たちとの関係や、彼らとのコミュニケーションは、現代の職場のリアリティを反映している。その中で、バカリズムのキャラクターがどのようにしてその世界に溶け込んでいくのかを見ることが、ある種の楽しみとなる。
新しい女装
女装と言えば、厚化粧でド派手な衣装、モリモリのヘアスタイルといった夜の商売の方々のメイクを思い浮かべてしまう。だって元がオトコだからそれらを消さないとオンナにはなれない。
しかし本作は意表を突く。前述したように、バカリズムはの女装はいたって自然。ほぼ化粧ナシ。ヘアスタイルもいつもの丸みのあるショート。言葉遣いも普通のバカリズム。女言葉ではない。ただ単にスカートを着用しただけのように見える。今までの女装の概念を粉砕した。
バカリズムはもう女性にしか見えない。他の女性キャストに混じっても、全く違和感なし。驚きのルックスである。こんな女装があるんだと、凄く新鮮な気持ちになった。
そして、女性キャストがスカートを履いただけのバカリズムを同じ女性として扱うということで不思議な空間が出来上がっていて、それ自体が一つのお笑い要素となっている。
確かに、お笑い芸人ジェラードンのかみちぃの女装もほぼ同じ手法。彼の場合は女性用カツラを被るし女性言葉であるが、バカリズムと同じくほぼ化粧はしない。でもとても女性に見える。
しかし、考えてみるとこの方がリアリティがある。だって、多くの女性は厚化粧でもド派手衣装でもない。世の中着飾っている女性ばかりではない。
女らしく着飾ることに抵抗を感じている女性も多い。学生時代が終わってからスカートを履いたことが無いという女性も多い。私も社会人になって20年以上経つが、もうスカートを履かなくなった。
リアルな女性表現を追及すると行きつく所ということか。
だからといって、私が男性に見えるかと言うとそういうわけではなく。女性らしさというのは表面的な服装やヘアスタイルではないということなのかなと思う。化粧しなくても女性にしか見えないわけで。
バカリズムの女装は、無印良品のようなナチュラル思考の女性をイメージして女装すると、素のバカリズムがスカートを履いただけで完成した。大発見である。
ストレス社会でもゆるく乗り切る
銀行という職場の中でも人間の感情を抑えることを求められる(と思われる)場所で、毎日ハイストレスに晒されて鬱鬱とした気分になるもの。そんな殺伐とした行員の心境とは裏腹に、あまり深刻にならずにゆる~く日々過ごしていく女性行員たち。
そのコントラストがある種のシチュエーションコメディになっている。(ネタバレになるので詳細なダメ出しは省略)
そして、その風景は現代社会を乗り切る一つの解決法かもと思ってしまった。何事にも熱くならない冷静な視線、そういう視線があれば会社での弱肉強食社会を遠くから見て自分だけのポジションを確立していくことができる精神力が備わったのかなと。
残念ながら私にはそういうのはなかったので、彼女たちに敗北感を感じずにはいられない。ある意味とても羨ましく思った。
些細なことを展開させる会話手法
バカリズムの人間観察力が冴えわたっているのが、女性キャストとの会話シーン。大抵は男性従業員に対する悪口やダメ出し。そして内容は他愛のないものばかり。
女性は表立って口には出さないけど、ハラの底では男性の一挙手一投足にダメ出ししてるというリアルが伺える。
同じくバカリズム脚本のTVドラマ『ブラッシュアップライフ』。こちらも主演の安藤サクラと幼馴染の二人、夏帆と木南晴夏との3人でいる時の会話の運びがいちいち素晴らしかった。『ブラッシュアップライフ』を観てハマった方はぜひ本作もチェック必至。爆笑すること間違いなしである。
ちょっとした些細なことを皮切りに話し始めて、3人が色々と発言することによって会話の軸がどんどんと変化していくというシーンが多用されている。それは気の合うお喋り好きな者同士が会話した時の化学反応みたいなもの。ラジオを聴いていると、ノッテいるパーソナリティと気の合うゲストの会話でちょくちょくこういう展開になっている場合がある。
気が合う者同士の会話あるあるの展開に着目し、かつ、笑いに変えていく手法もバカリズムの天才的な笑いのセンスの一つであり、本作の見どころ。
『架空OL日記』のまとめ
- 『架空OL日記』には事件性が一切ない
- バカリズムの女装はナテュラル思考の女性
- スカートを履いただけの男性なのに女性に見えて違和感がない
- スカートを履いただけの男性が女性として受け入れられているシチュエーション自体が笑い
- 女性行員のゆるさはハイストレス社会を乗り切るある種の回答かもしれない