ミセスバケット|Keeping Up Appearances

すてきな映画館・UK TV

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出典元:Brit Box|Best of Hyacinth Bucket’s Name Mispronunciation

BBCのシットコム(※)の中でもイチ押し、「ミセスバケット|Keeping Up Appearances」をご紹介。「ミセスバケット=バケツ夫人」である。日本での放映およびDVD販売はないため、中々知っている人は少ない作品。

でも、内容がとっても面白い!!それでいて、至って良質、無害かつ健全なコメディである。しかも皮肉もあって、ウィットに富んでいる。

老若男女が視聴できる。だから、NHKで放映しても全く問題のない内容だ。にもかかわらず、何故NHKがこの作品を購入して放映しなかったのか、長年の疑問。放映するときっと人気が出るだろうに、勿体ない!

因みに、英語の「Keeping Up Appearances」とは、「体面を保つ」「見栄を張る」という意味。また、「ミセスバケット」というのは本作を端的に表す通称名で、正式な邦題ではない(日本での放映歴がないので邦題はついていない)。

体面や世間体を気にして、色々と突っ走る上から目線の主婦・ハイアシンスと彼女を取り巻く心優しい人々との日常生活を描いた大人気コメディ。

1990年から放映開始し、第5シーズンまで制作。Top 50 British TV sitcomで第12位にランクイン。大人気であったのでまだまだ制作できたものの、主演のパトリシア・ラウトリッジが出演を拒否したためやむなく終了。終了の理由は、パトリシア・ラウトリッジがその後の役者としてのキャリアがハイアシンスという役に固定されることを恐れたと言われている。

※シットコムとは、situation comedyというもので、コメディスタイルの一種。笑い声が入る、1エピソード30分程度の短いコメディドラマ。

定年間近の夫を持つ専業主婦(ハイアシンス)が主人公。あくまでも庶民の階級であるのに、自分のことを社会的地位が高い階級に属すると見せたがる。我が強く、過剰な見栄っ張りは周囲の人々を困惑させ、違和感を持たれている。

しかし、周囲の人々はそんなお高くとまって上から目線のハイアシンスに対して寛大だが、悪意なく、彼女の上から目線の行動をぶち壊していく。

上から目線で多くの人が眉を顰めるハイアシンスに対して、世間はハイアシンスの思惑通りには決して動かないんですよ~!というオチが毎回お決まりのコメディとなっている。

しかし、ハイアシンスも悪人として描かれているわけではない。彼女なりに奮闘し、思い通りに行かないことに果敢に戦いを挑んだりしている。

ハイアシンスが注力する主な”上から目線な”行動

  • 名字をバケットと発音されると、彼女は露骨に嫌な顏をする(あくまでも「バケツ」ではないと抗議の意味(英語のbucketにはバケツの意味がある))。そして、彼女は「ブ~ケ~」と発音するのだと訂正を入れる(フランス語のブーケ(bouquet=花束)を想定し、先祖がフランスと縁がある(高貴な身分)かもしれない事を示唆したい)。アクセントは第2音節。
  • 彼女は我が家のことを、「The Residence」と呼ぶ。
  • 彼女が電話に出る時は、「The Bouquet residence, the lady of the house speaking!(ブーケ邸宅です。家の女主人です。)」と誇らしげに応答するが、大抵、近所のテイクアウト専門中華料理店への注文電話である。
  • 家に入るときは、靴を脱ぐことを強要する。
  • 陶磁器のティーセットに思い入れがある。自身が持っている茶器のセットを「China、China」と連呼して自慢し(英語で陶磁器はChina、漆器はJapan)、事ある毎に、お茶会または夕食会(candle night supper)をしたがる。隣人のエリザベスは、ハイアシンスのティータイムに度々招待されるが、ハイアシンスからの「陶磁器を大事に扱うように」との無言のプレッシャーに耐えかねてティーカップを落とすというのが毎回のルーティン。暫くして、あまりにもティーカップを落とすので、ハイアシンスはエリザベスに陶磁器を出すのを断念し、マグカップを出すことにした。
  • 姉妹で唯一富豪の家に嫁いだ妹のバイオレットについて、「メルセデスとプール、サウナとポニー用の部屋を持っているあの人よ」と大声で言って、夫や見ず知らずの人に自慢する

なお、ハイアシンスは架空の人物だが、Wikipediaに彼女のページがある。これを読むのも面白い。

出典元:Brit Box|Hyacinth’s Best “Chinese Takeaway” Moments

ハイアシンス・バケット (パトリシア・ラウトリッジ)
専業主婦。4人姉妹の長女。そのスノッブな性格から自分とその家族を実際以上に社会的地位が高いと見せたくて仕方がない。その為、彼女は数々の行動を起こすが、残念ながら彼女の思い通りには成功しない。しかし、そんな事は気にせず、毎日自分の信じる道を突き進む。工芸学校に行っている離れて住む息子シェルドンを溺愛している。なお、ハイアシンスとは花の「ヒアシンス」のこと(4姉妹は全員花の名前)。

リチャード・バケット(クライブ・スウィフト)
役所(council)の財務部門勤務。ハイアシンスの過剰な見栄っ張りな行動に表立って異論を唱えないが、いつも困った表情をしている。ハイアシンスの行動によって迷惑を被った人々に同情を表明している。家庭でリーダーシップは取れないもののハイアシンスからは愛されおり、ハイアシンスから早期退職を望まれる。

エリザベス ・ワーデン(ジョセフィン・テューソン)
ハイアシンスの隣人であり良き友。ハイアシンスのような上流階級志向はないが、彼女とは良い付き合いをしている。ハイアシンスに振り回されるリチャードに同情をしている。

デイジー(ジュディ・コーンウェル)
ハイアシンスのすぐ下の妹。無職の夫、末妹のローズ、徘徊癖のある老父親と共に労働者階級の集合住宅に住んでいる。ハイアシンスのように上流階級志向は一切なく、誰にでも優しく気さくな性格。気が弱い所があり、姉であるハイアシンスを頼りしている。

オンズロー(ジェフリー・ヒューズ)
デイジーの夫、無職。冬でも同じ格好をしているくらい、衣食住にこだわりがない。ハイアシンスのスノッブな行動にいちいち皮肉を言うが、哲学的で達観した所がある。リチャードをディッキーと呼び、彼が長年ハイアシンスとの生活に耐えていることに同情している。ハイアシンスからは天敵扱いされている。一方、ハイアシンスはいかにも低所得な格好のオンズローがハイアシンス宅に出入りすると世間体が悪いので、そのような事態は絶対に回避したい。その為、必ずハイアシンスの方からデイジー/オンズロー宅へ行く。

ローズ(シャーリー・ステルフォックス/メアリー・ミラー)
ハイアシンスの末妹。無職、独身。デイジーの家に居候。しばしば男性と恋愛するが成就せず、感情の起伏が激しい。お金持ちの男性との結婚を夢見ている。事ある毎に、デイジーと共にハイアシンスの助けを求める。ハイアシンスにとっては世間体が悪いため隠したい妹だが、ローズはそんな姉の気持ちを気にしていない。

バイオレット
ハイアシンスの2番目の妹(デイジーの下)。姉妹で唯一の富豪の家に嫁いでいることから、ハイアシンスにとっては自慢の妹。最後のシーズンのみ姿が登場するが、それ以外は姿なし。ハイアシンスに度々助けを求める電話を架けてくる。助けを求める理由は大抵、女装と乗馬好きの会計士の夫ブルースによる風変わりな行動である。

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ハイアシンス役のパトリシア・ラウトリッジは御年95歳(2024年現在)!シドニー・ポワチエの『いつも心に太陽を|To Sir, with Love』で主人公の同僚の教師を演じていますよ。シドニー・ポワチエと共に、若き日のパトリシアを観て見ましょう!

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日本で観る方法としては、YouTubeのBrit Box等。フルエピソードではないにしろ、部分的に視聴できるので、是非観てみてください。

後は、Amazonの海外のDVDとして購入する方法はあります(シーズン1~5のBOXセットも販売してますよ、海外DVDを再生するにはリージョンコードに注意)。ぜひ、お試しください☆

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