ラストナイト・イン・ソーホー(2021)☆UK|エドガー・ライト|トーマシン・マッケンジー|アニャ・テイラー=ジョイ

すてきなホラー・スリラー・ミステリー

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イギリスの田舎に住むエロイーズ(エリー)の趣味は、洋裁。念願のロンドンにあるファッションの学校に進学し、寮生活が始まった。1960年代の文化を愛好する彼女を、他の学生達は変わり者扱いし、あざ笑う。寮生活に耐えられなくなったエリーは、ある部屋を見つけて1人暮らしを開始した。その部屋は彼女の好きな60年代の雰囲気が色濃く残っていた部屋だった。夜、エリーがその部屋で眠りにつくと、不思議なことに、60年代に同じ部屋で暮らした、歌手を夢見るサンディという若い女性の生き方を追体験するようになる。サンディと出会ったことでエリーの現実の世界も生き生きとしたものになる。しかし、ある夜、エリーは、サンディがポン引きの男に殺されるシーンを見てしまう。

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主人公の女の子が清純派で可愛かったのでファンタジーか青春ものかと思っていたら、ホラーでした。でもあまり怖くはなく、映像の見せ方にもオリジナリティがあって面白いです☆彡

出典元:Universal Pictures UK|Official Trailer

原題Last Night In Soho
公開2021
ジャンルホラー
監督エドガー・ライト
出演トーマシン・マッケンジー、アニャ・テイラー=ジョイ
ダイアナ・リグ
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※2024年7月時点の情報です。情報には変更がある場合がありますので、必ず各サイトをご確認ください。

以下は本作に対するmmの感想と考察です、ネタバレが含まれますのでご注意ください

エリーが透明感のある清純派で、かつ、真面目な雰囲気だったので、ファンタジーか青春ものなのかなと思っていたら、途中からどんどんホラー色が強くなる作品だった。

しかし、ホラーと言っても全然怖くない。大ヒットしたホラー『ミッド・サマー』や『パール』に比べたら、非常に観易かった。

怖いシーンの演出は一本調子で、エリーが沢山の亡霊に襲われるか、またはサンディが誰かに殺されそうになる、のどちらか。

それ故、ホラーとしてのエンタテイメント性は低い。ホラーを期待して鑑賞するとがっかりするレベルであろう。一方、ホラーが苦手の人にとってはちょうどいい。

監督は、あまりホラーに主眼を置いて撮ったのではないと感じがしてならない。

この作品を観ていると、60年代の孤独な青年を描いた映画を思い出した。

一つは、サイコ・サスペンス映画『コレクター』(1965)テレンス・スタンプ演じる青年が憧れの女性を地下室に監禁する話。彼は、この映画でも謎の老紳士を演じる。テレンス・スタンプは『コレクター』のイメージが大きいせいか、普通の人の役柄はないように思う。多くが悪役、教組、サイコパス系の犯罪者。普通のお父さんの役は観たことが無い(観ていないだけか?)。しかし、彼も年を取ってアクが抜けた。本作では、それ程異彩は放っていない。寧ろ、本作こそ、彼にとっては珍しいまともな役だったのでは。

更に、同じく60年代を代表するカルトホラースリラー『血を吸うカメラ|Peeping Tom』(1960)も思い出す。監督も、『血を吸うカメラ|Peeping Tom』を相当意識したのではないか。死に際の女性の表情を撮影するために殺人を繰り返すサイコ・カメラマンの話。エリーが借りた部屋がある建物は、埃っぽい絨毯に、古めかしい暗い壁紙、薄暗い階段。部屋は広いものの、息が詰まるような閉塞感漂う雰囲気。地味で古びた安っぽい家具。『血を吸うカメラ|Peeping Tom』で主人公が住んでいる家とよく似ている。(類似している箇所を具体的に明示できなくて申し訳ないのですが、監督は本当に『血を吸うカメラ|Peeping Tom』にインスパイアされたと、この文章を書いた後に読んだので、概ね間違っていないようです)。

エリーの性格や精神的に孤独であることも、これら二つの映画の青年たちと類似している。けれども、『コレクター』や『血を吸うカメラ|Peeping Tom』の青年たちと決定的に違う点がある。エリーは、孤独で独自の世界観を持っているものの、精神は病んでいないということ。そこがこの映画を健康的にし、ハッピーエンドに持っていっている。

監督は、真剣にサイコ・ホラーを撮るつもりもなく、60年代のホラー風味だけれども、あくまでも当時のファッションを中心に華やかに描くことを主眼として、「60年代に迷い込んだちょっと風変わりな女の子」というテーマで撮りたかったのではないか。

もっと言うと、「もしもアリス(エリー)が60年代のダークサイドに迷い込んだら」というイメージで撮ったという感じがする。60年代に迷い込んだエリーは主人公ではなく、終始観光客のような立ち位置で、サンディの動きを見守るだけだから。

ラストは、やや簡単すぎる。

エリーが大家のおばさんに引っ越す意向を伝えに行くと、この大家のおばさんがいとも簡単に白状する。ええ、私は過去に色々やらかしてましたよ、エリー、貴方が見たものはまんざら嘘ではないのよ、みたいな話に展開する。

エリーが大家のおばさんに話している時点で、このおばさんが犯人で、エリーは殺されそうになるのだなと容易に解る。

大家のおばさんが良い人から急変するのは、取って付けたような構成であるのは否めない。しかし、映画の尺的には、60年代と現代を繋げてまとめにかからないといけない時間帯であるので、仕方がない。エリーを早く現代に戻すには、大家のおばさんを悪者にするのが手っ取り早い。

ラストで、大家のおばさんが自らの罪に後悔の念を見せるシーンが少しだけあるけれども、それも唐突な感じはある。若いエリーに告白したことで、忘れ去っていた遠い過去を思い出し急に後悔したのかもしれない。しかし、その辺りの感情を描くなら、もう少しおばさん(サンディ)の悲しみが前向きな形で昇華できるような描き方はできなかったのかなと思う。何故なら、エリーはサンディの苦しみと悲しみを理解し、毎夜サンディを気にかけていたから。実はサンディが殺人鬼でしたということだと、サンディを救いたいと必死にシンパシーを寄せていたエリーは一体何だったのかとなって、モヤモヤしてしまう。

また、大家のおばさん=サンディであるなら、サンディは存命である。エリーがサンディの幻覚を見るのは、サンディが既にこの世の人ではないから幽霊となって部屋に憑りついているからと思って観ていたが、そうではないということ。だとすると、部屋自体が60年代の過去の幻覚を見せる特殊な部屋ということなのだろうか。

ラストを観ると、物語の話との辻褄が合わない気がして、エリーの幻覚とは単なる夢の話だったのか何だったのか、返って解らなくなってしまった。無理くり現代に戻してきたし、ハッピーエンドだからそれでいいのかもしれないが。

エリーが60年代に迷い込むシーンの数々はこの映画独特の演出方法があって、中々面白い映像が多かった。

60年代のキャバレーに迷い込んだエリーは、サンディの影となって、鏡の中からサンディを眺める。完全なタイムスリップSFではないので、エリーは60年代の主人公ではない。そこが「迷い込んだ」感じが上手く演出で来ていた。

時々、エリーはサンディと身体的に一体となり、シンクロする。サンディと入れ替わって踊り、サンディを体感することもある。ダンスホールでは、二人が交互に入れ替わって踊る。

今や映画製作にCGは欠かせないので、特段技術的に優れているとは思わないけれども、資格手系に

現実の世界でも、エリーはサンディのようにブロンドにヘアカラーし、サンディの見た目に寄せていくことで、精神的にもサンディに寄っていく。

全くタイプの違う2人の若い女性がシンクロしていく様を視覚的にも演出しているのだから、やはりサンディ(=大家のおばさん)の心が救われるようなラストがより良かったのになと思えてならない。

ロンドンのロケ地は、観光客が良く行く中心地。

エリーの下宿

エリーが働くパブ|トゥーカン

  • ホラーと言っても、怖くない
  • ダークなアリス・イン・60年代
  • 60年代の2つのサイコ/ホラー映画を思い出す
  • 主人公は清純派で可愛い
  • ラストで物語の辻褄が合わない感じがやや残る
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