ロッキー(1976)☆USA|ジョン・G・アヴィルドセン|シルヴェスター・スタローン

すてきなアクション

三流ボクサーのロッキーはボクシングでは生活できない為、借金の取り立ても請け負ってチンピラみたいなヤクザな生活を送っていた。落ちぶれた生活によってトレーニングジムからも追い出されどん底を彷徨っていたロッキーは、近所のペットショップで働くエイドリアンという地味な女の子に好意を持っていた。そんな時、ロッキーに試合のチャンスが訪れる。世界チャンピオンからの指名だった。無名のロッキーと対戦することで自身の好感度を上げることが目的だった。ロッキーは一度は断るものの、対戦することになる。

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『ロッキー』は大好きな映画の一つです。どん底にいる人間の孤独と悲しみ、そしてチャンスに向かう底力を見事に映像化しています。不器用なロッキーとエイドリアンの馴れ初めを丁寧に描いていて恋愛映画としても良く出来ています。ぜひ観て欲しい1本です☆彡

出典元:MGM/Official Trailer

公開1976
ジャンルドラマ
監督ジョン・G・アヴィルドセン
キャストシルヴェスター・スタローン、タリア・シャイア
バート・ヤング、バージェス・メレデス
カール・ウェザース
受賞第49回アカデミー賞:作品賞、監督賞、編集賞
第34回ゴールデングローブ賞ドラマ作品賞
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以下は本作に対するmmの感想と考察です

言わずと知れたシルヴェスター・スタローンの大出世作『ロッキー』。どうにも人生が上手く行かない男の再起をかけたドラマ。どん底にいる人間が這い上がる様と、その周辺の人々の模様を丁寧に描写し、多くの人々の心を打った。

スタローンは駆け出しの俳優時代に3日で脚本を書いたというのだから、なんという偉業。本人も出演作品に恵まれず、職を転々としながら這いつくばって生きていた時代だから人間の機微が良く理解できていた頃だったろう。

「最後のゴングが鳴ってもリングに立っていられたら、俺はゴロツキではないってことを初めて証明できるんだ」

ロッキーが試合前夜に恋人エイドリアンに言うセリフ。あまりにも有名なセリフ。そして、このセリフに物語が集約されていると言っていい。

ああ、しびれる。こんなセリフを書いてしまうスタローン。自身も苦労三昧であったろうし、人間観察も良く出来る人なのだろう。

それなのに、今は娯楽アクションスターの代名詞のような扱われ方して、俳優として演技派という意識は持たれていない。何とも残念である。

本作でも暗く、陰鬱な雰囲気を見事に体現していて、演技も上手だと思う。勿論ボクシングの試合のシーンも、トレーニングのシーンも。いとも簡単にやってのけると返って評価されないのだろうか。

劇中、ロッキーは恋をする。エイドリアンという女の子。名前とは裏腹に非常に地味な女の子で、ペットショップの店員をしている。メガネっ子で化粧はしていない。服装も至って地味。そして何より非常に人見知りが激しい。男の人で彼女に話しかけるのは兄のポーリーだけ。

そんなエイドリアンを気に掛けるロッキーは、ペットショップに行っては彼女に話しかける。

ロッキーが彼女にシンパシーを感じる理由は、二人が精神的に同じ場所にいると感じるからではないか。落ちぶれれて社会から嫌悪されるロッキーと社会に入れない引きこもりがちなエイドリアン。

ロッキーは社会との距離を上手く詰められないエイドリアンの不器用さに自分を見ているのだろう。そして彼女なら自分の弱く孤独な部分を共感し合え、欠けている部分を埋め合わせることができると感じた。

ロッキーのアタックに負けて心を開くエイドリアン。二人は恋人同士になり、お互いが唯一無二に相手となった。

本作はボクシングを軸としているものの、ロッキーの恋愛についても大いにフォーカスしている。ロッキーが地味で冴えない日陰女子のエイドリアンにアプローチし、人生の伴侶ととなっていく過程を丁寧に描いている。エイドリアンは人間ロッキーを描く上では欠かせない要素だから。

ハリウッドにおけるイタリア系俳優の典型的な仕事は、マフィアの役だろう。アル・パチーノしかり、ロバーロ・デ・ニーロしかり。

スタローンもイタリア系俳優として有名であるが、マフィア映画の印象はほぼない。本人は『ゴッドファーザー』のエキストラで出演を試みたようではあるが、出演していない。マフィア役も回ってきたら出演したであろうが、偶然出演することにはならなかったのだろう。そうこうしているうちに本作で大ブレイクしたので、マフィア役をすることもなくアクション一辺倒になった(途中コメディにも挑戦したが上手く行かなかった)。

それもこれも、本作の脚本を手掛けて成功したから、と思う。本作の成功で名声を得ると共に制作側にも入っていくことができたというのが大きな要因ではないか。それで、イタリア系ならマフィアでしょという固定観念でオファーされることなく、イタリア系枠から外れたところで仕事ができたということなのかなと思う。そういう意味で、スタローンはイタリア系俳優(あるのかどうか知らないけど)の中では独特のポジションを走っているのだろう。

友人が『ロッキー3』と観ていたらあることに気が付いたと言う。それは、スタローンの体がいつも以上に”仕上がって”いたこと。彼女は、その理由は『ランボー』にあると分析していた。

そう、『ロッキー3』と最初の『ランボー』はほぼ同時期に撮影されている。ランボーでの過酷なアクションのために、『ロッキー』の体がそれまで以上に引き締まっていたのではないか、というのである。彼女は熱心なスタローンファンだった。

確かに、『ロッキー3』のスタローンはそれまで以上に体つきがキレッキレ。映画的には、『ロッキー』『ロッキー2』の方が出来が良いけれども。

彼女の興味深い視点に触発されて、スタローンの2大代表作、『ロッキー』と『ランボー』の時間的関係を並べてみた。ただ並べただけなのだが。

1976 ロッキー

1979 ロッキー2

1982 ロッキー3

1982 ランボー

1985 ランボー2

1985 ロッキー4 炎の友情 ←大阪難波の劇場で観賞、A4サイズのパンフもゲット(筆者は小学生)

1988 ランボー3 怒りのアフガン

1990 ロッキー5 最後のドラマ

2006 ロッキーザファイナル

2008 ランボー 最後の戦場

知人に「『ロッキー4』で初めて劇場で観た」と言うと、クスっとされる。なんでまたよりによってロッキー至上一番出来の悪い『4』なの?と。

エイドリアンを演じるのはタリア・シャイアである。兄がフランシス・F・コッポラで、甥がニコラス・ケイジ。日本語吹き替えは松金よね子。

色々な映画に出演しているが、何といっても『ロッキー』と『ゴッドファーザー』が彼女の代表作。

本作では、人見知りで引きこもりで地味過ぎる女の子エイドリアンの演技が素晴らしい。ロッキーと出会った当初、男性と話したことなど一切ないというオタクな雰囲気だったのに、ロッキーと付き合っていく毎にどんどん綺麗になっていく。

ロッキーに愛されることによって女性として開花していくエイドリアン。その変貌ぶりを観るのも本作の見どころの一つである。

『ゴッドファーザー』(1972)ではタリア・シャイア演じるコニーの結婚式から始まるため、タリア・シャイアが一番美しい時代から入る。一方本作では打って変わって、日陰女子のルックスから入ってどんどん綺麗になっていく。彼女の代表作二つは、彼女の役所が全く違うのでどちらも楽しめる。どんどん

とはいえ、『ゴッドファーザー』では脇役であり、彼女の女優人生ではこの『ロッキー』のヒロインが一世一代の役だろう。

『ロッキー3』以降は、経済的に豊かになったせいで地味だったエイドリアンの影がすっかり無くなっているのもリアルでいいと思う(ロッキーもだけど)。

  • シルヴェスター・スタローンの大出世作『ロッキー』は、どうにも人生が上手く行かない男の再起をかけたドラマ
  • 『ロッキー』は恋愛映画としても十分見ごたえあり
  • 『ロッキー』の成功がスタローンのイタリア系俳優としてのポジションを特殊なものに
  • ヒロイン・エイドリアンがどんどん美しく変貌するところも見どころ

ロッキー・ステップ 

トレーニング中、ロッキーが階段を駆け上ってガッツポーズする

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