マシニスト(2004)|The Machinist☆スペイン・USA|ブラッド・アンダーソン|クリスチャン・ベール|ジェニファー・ジェイソン・リー

すてきなホラー・スリラー・ミステリー

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『マシニスト』は2004年に公開された、ブラッド・アンダーソン監督による心理スリラー映画です。クリスチャン・ベールの極限の体重減少と演技力には圧倒されます!シンプルながらも謎めいたストーリーで引き込まれること間違いなしです☆彡

工場で働くトレバー・レズニック(クリスチャン・ベール)は、一年間も不眠症に苦しんでいる。孤独な彼の楽しみは、お気に入りの娼婦と時間を過ごすことと、空港のカフェでお気に入りのウェイトレスと会話することだった。ある時、工場である男と出会う。これまで見たこともない男だった。トレバーは、その謎めいた男が働く姿に気を取られて機械の操作を誤り、同僚が腕を機械に巻き込まれる大事故を起こしてしまう。

原題The Machinist
公開2004
ジャンルスリラー
監督ブラッド・アンダーソン
出演クリスチャン・ベール、ジェニファー・ジェイソン・リー
アイタナ・サンチェス=ギヨン
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※2024年7月時点の情報です。情報には変更がある場合がありますので、必ず各サイトをご確認ください。

以下は本作に対するmmの感想と考察です、ネタバレが含まれますのでご注意ください

『マシニスト』は、極限状態に追い込まれた男の精神崩壊を描いた作品。

主人公のトレバー・レズニック(クリスチャン・ベール)は、一年間も不眠症に苦しんでおり、そのために徐々に現実と幻想の区別がつかなくなっていく。

物語は、彼が働く工場での奇妙な出来事や、謎めいた人物との出会いを通じて進行する。トレバーの精神状態は、観客に対して彼の視点を通じて描かれるため、観る者も彼と同じく混乱し、緊張感を味わう。

この映画の中心にあるテーマは、罪悪感と贖罪。トレバーは過去のある出来事に対する罪悪感に苛まれ、その結果として不眠症に陥ったということがラストで描かれる。彼の心の奥底に潜む罪の意識が、物語全体を通じて観客に明かされていく過程は、非常に巧妙であり、観る者を引き込む力がある。

映画の結末で、トレバーの罪が明らかになる瞬間は、全てのピースがはまり、彼の精神崩壊の理由が明確になることで、観客にカタルシスを与える。

クリスチャン・ベールの演技は、この映画の最大の見どころの一つ。彼は、役作りのために体重を極限まで減らし、トレバーの身体的な変貌を視覚的に表現。彼の痩せこけた姿は、トレバーの精神的な崩壊を象徴している。ベールは、トレバーの絶望感や恐怖、そして時折見せる脆さを見事に演じ切っており、その演技は観る者の心に深く響く。ベールの演技は、この映画を単なるスリラーから、一級の心理ドラマへと昇華させている。

クリスチャン・ベールは所謂「役者」魂のある俳優だ。役作りのために30キロ近く減量を行い、彼の痩せこけた姿は視覚的に衝撃を与えるだけでなく、映画全体の緊張感を高めている。

彼は1作品、1作品、常に全力投球で臨んでいる姿がひしひしと伝わる。本作のような、全くイケメンではない(寧ろ、ヘタレ感満載のルックス)の役だと嬉々として演技するタイプだろう。

本作での彼には、『アメリカン・サイコ』で全裸でチェーンソーを持ってらせん階段を走り下りる怪演と同じくらいの意気込みを感じた。やはり『バットマン ビギンズ』は彼に全く相応しくない。

トレバーの「不安」とは、どこから来るのかが観客には解らない。彼の周りで発生するミステリアスな事件が一体何なのか。

工場、自宅、空港カフェ、娼婦の部屋、パブ、遊園地・・・。トレバーが行くところは限定されており、非常にシンプルな作り。であるのに、トレバーがなぜ不眠症で、精神が不安定なのかが、観客には全く解らず、引き込まれてしまう。観客を引き付ける計算された演出や構成が上手い作品である。

ブラッド・アンダーソン監督の演出は、映画全体にわたって緊張感と不安感を維持できるよう、視覚的な要素や音響効果を巧みに駆使して、トレバーの不安定な精神状態を表現した。特に、薄暗い照明や寒々しい色調、黒い人影、白とグレーで統一された無機質なキッチン等、映画全体の陰鬱な雰囲気を強調することに注力している。

カラーフィルムなのに、所々白黒映画のようなシンプルさが挟まれている。これにより、観客は常にトレバーと同じく、何か不穏なことが起こるのではないかという不安に駆られる。

また、ハリウッドの監督が撮ったと思えないアート感度の高さが随所に見えて、その丁寧な作り込みに関心した。中でも、遊園地のシーンで、メリーゴーランドに乗っている子供たちと馬が真っ黒の影になって動いている景色が、影絵みたいで美しかった。これも、楽しいはずのメリーゴーランドを黒く映すことで、主人公の心境を描写している。光と影のコントラストを繊細に表現できている。

『マシニスト』は、単なるスリラー映画ではなく、人間の心理を深く掘り下げた作品。この映画が他のスリラーと一線を画す点は、その緻密なストーリーテリングとキャラクターの内面に対する深い洞察にあると共に、繊細で丁寧な描写にあるであろう。トレバーの苦悩や絶望感は、誰しもが持つ内面的な葛藤を映し出しており、その意味で非常に普遍的なテーマを扱っている。

もう少し掘り下げると、この映画は非常にキリスト的な映画だ。我々日本人にはピンと来ないが、恐らくキリスト教圏の人が観たら、あらゆる細部でキリスト教との繋がりを発見するのだろう。

その最たる所は、空港カフェのウェイトレス・マリアである。マリアの役は、名前も然ることながら、キリストの母マリアをモチーフにしているのは明らかである。

彼女との時間は、映画全体を通じて唯一トレバーが人間的に振る舞える時間として描かれている。彼女と会話するトレバーは、その不穏な表情も消え去り、心晴れやかな表情を浮かべている。マリアの、何もかも受け入れる包容力豊かさが彼を包む。そして、毎夜、彼がマリアに会いに行く理由は、マリアに赦し乞うためだったのか。

空港カフェは、彼にとっては教会だったのかもしれない。

  • この映画のテーマは、罪悪感と贖罪
  • 単なるスリラー映画ではなく、人間の心理を深く掘り下げた作品
  • 非常にシンプルな創りであるのに、先の読めない展開で没入感が高い
  • クリスチャン・ベールを観るならこの作品
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